仮想通貨やブロックチェーンに関連する資格は、まだ数が少ない現状ですが、専門知識を証明する手段としていくつか存在します。
これらの資格は、投資・金融知識向けと技術者向けに分けられます。
1. 仮想通貨の投資・金融知識向けの資格
仮想通貨の仕組みや市場、関連法規など、ビジネスや投資に役立つ知識を問う資格です。
暗号通貨技能検定(日本クリプトコイン協会)
仮想通貨のシステムやブロックチェーン技術の本質、法規制、市場動向など、幅広い知識が問われます。
「初級」「上級」があり、初心者から専門家までを対象としています。
仮想通貨の正しい知識を身につけ、ビジネスやアドバイザーとして活動することを目的としています。
暗号通貨技能検定(初級)
暗号通貨技能検定(初級)は、一般社団法人日本クリプトコイン協会が主催する、暗号資産やブロックチェーン技術の基礎知識を学ぶための資格です。
この検定は、暗号通貨を全く知らない初心者でも、その本質や実際の使い方を体系的に理解できるように設計されています。
検定の主な目的と対象者
この検定の主な目的は、暗号資産を単なる投機対象としてではなく、新しい決済手段や技術として正しく理解し、安全に使用するための知識を普及させることです。
事前の知識は不要で、16歳以上であれば誰でも受講できます。
学習内容
初級の学習内容は、以下の広範なテーマをカバーしています。
お金の歴史と暗号通貨の位置づけ
お金がどのように進化してきたか、そして暗号通貨が現代社会でどのような役割を果たすか。
ブロックチェーン技術の基本
ブロックチェーンの仕組み、なぜ改ざんが難しいのか、P2P(Peer to Peer)ネットワークの概念など。
暗号通貨の仕組み
ビットコインの概要、デジタル署名、PoW(Proof of Work)やPoS(Proof of Stake)といったコンセンサスアルゴリズム。
ウォレットの作成と管理
実際にウォレットを作成し、安全に暗号通貨を保管・使用する方法。
社会における暗号通貨の可能性
国際送金、金融、SDGsへの貢献など、暗号通貨が社会に与える影響。
受験と資格
受講後に行われる検定試験で、80点以上を獲得すると合格となります。
合格者は「暗号通貨アドバイザー」の資格を授与され、さらに上級検定の受験資格を得ることができます。
また、検定料にはテキスト代や検定試験料が含まれています。
暗号通貨技能検定(初級)の検定料と試験日について
暗号通貨技能検定(初級)は、講座と試験がセットになっているため、検定料は「講座の受講料+検定試験料」となっています。
検定料(費用)
オンライン受講&検定試験:49,500円(税込)
この費用には、非売品のテキスト代、検定試験料が含まれています。
初級検定を受講すると、初年度は日本クリプトコイン協会の会員(JCCA会員)として、限定メルマガなどのサービスを利用できます。
2年目以降は更新料11,000円(税込)がかかります。
検定試験日
暗号通貨技能検定は、定期的に開催されています。
ただし、決まった統一試験日があるわけではなく、講座ごとに開催日が設定されています。
例えば、協会公式サイトの最新情報によると、2025年9月や10月、11月にオンラインでの検定試験が予定されています。
参加を希望する場合は、公式サイトや東京支部サイトなどで最新の開催スケジュールを確認し、申込みを行う必要があります。
ご自身で受験可能な日程を見つけて申し込む形式となります。
暗号通貨技能検定(上級)は、初級検定に合格した方を対象に、さらに専門的で実践的な知識を習得するための検定です。
暗号通貨技能検定(上級)
検定の目的と学習内容
上級検定の主な目的は、暗号通貨とブロックチェーンに関するより高度な知識を身につけ、ビジネスやコンサルティングに活かせるスキルを習得することです。
初級で学んだ基礎知識を前提として、より深いテーマを掘り下げます。
具体的な学習内容は以下の通りです。
改正資金決済法と金融商品取引法
暗号資産に関連する日本の法制度について、より詳細な理解を深めます。
FATF(金融活動作業部会)勧告
国際的なマネーロンダリング対策の動向と、暗号資産に対する規制の枠組みを学びます。
ブロックチェーンの仕組みと技術
暗号解読法、スマートコントラクト、PoS(Proof of Stake)など、初級よりもさらに技術的な側面を深く学びます。
暗号通貨とビジネス
暗号資産がどのようにビジネスに応用できるか、Web3やDAO(分散型自律組織)、NFT(非代替性トークン)といった新しいトレンドも踏まえて学びます。
プレゼンテーション能力
上級では、単なる知識だけでなく、学んだ内容を他者に正確に伝えるためのプレゼンテーションスキルも重視されます。
受験資格と形式
受験資格暗号通貨技能検定(初級)に合格していることが必須です。
検定形式講義と小論文の2部構成となっています。
特徴
上級検定講座は、一度受講すれば日本クリプトコイン協会の会員である限り、無料で何度でも再受講できる点が大きな特徴です。
この分野は技術や法制度の進歩が非常に速いため、常に最新の情報を学び続けることが可能です。
上級検定に合格することで、暗号資産やブロックチェーンに関する高度な知識とスキルを持つ専門家として、ビジネスの場での活躍が期待されます。
デジタル金融サービススタンダード【暗号資産コース】(金融財政事情研究会)
金融機関の職員などを対象とした資格で、暗号資産の基礎知識から金融サービスにおける実務上の注意点、法令・税務など、より実務的な知識を習得することを目指します。
デジタル金融サービススタンダード【暗号資産コース】は、一般社団法人金融財政事情研究会が主催する認定制度の一つで、金融機関職員や暗号資産関連ビジネスの従事者を主な対象としています。
概要
このコースは、フィンテックやデジタル化の進展に伴い、暗号資産に関する業務を適切に遂行するために必須となる知識を習得することを目指しています。初級・中級者を対象とした実践的な教育プログラムと、その後の認定試験で構成されています。
特徴
ウェブ講義
まずウェブ講義を受講し、知識を身につけます。
この講義をすべて修了することが、認定試験の受験要件となります。
CBT方式
認定試験は、全国各地のテストセンターで、コンピュータを使って受験するCBT(Computer Based Testing)方式で行われます。
実践的な内容
単なる技術的な知識だけでなく、暗号資産交換業における実務上の注意点、法令、税務、マネーロンダリング対策など、より実務に直結する内容を学びます。
出題形式
三答択一式50問で、試験時間は60分です。
合格基準
50点満点中30点以上の正解で合格となります。
受験対象
暗号資産ビジネスでキャリアを築きたい初心者、若手社員、またはNFT(非代替性トークン)やDeFi(分散型金融)関連の業務に携わる従事者などが想定されています。
この資格は、金融機関や関連企業での業務遂行に必要な、信頼性の高い専門知識を証明する上で役立ちます。
認定試験の費用と実施時期
デジタル金融サービススタンダード【暗号資産コース】認定試験の費用は、ウェブ講義の受講料とセットで22,000円(税込)です。
試験はCBT方式のため、通年で実施されており、いつでも受験申込が可能です。
認定試験の費用
この認定制度では、まずウェブ講義をすべて修了する必要があり、その受講料と認定試験の受験料がセットになっています。
費用:22,000円(税込)
この費用には、ウェブ講義の視聴料と、認定試験の受験料が含まれています。
認定試験の実施時期
認定試験は、全国のテストセンターで実施されるCBT(Computer Based Testing)方式**を採用しているため、決まった試験日はありません。
申込期間
通年で受験申込が可能です。
受験期間
受験申込日の3日後から、当初の受験申込日から1年間が受験可能期間となります。
注意点 ウェブ講義をすべて視聴(修了)することが受験の必須要件です。
講義の利用可能期間は、利用開始日から13週間(91日間)と定められているため、この期間内に視聴を終える必要があります。
また、試験問題は毎年11月1日に更新されるため、最新の情報を確認して受験することをおすすめします。
2. 仮想通貨の技術者向け資格
ブロックチェーン技術そのものの開発や、分散型アプリケーション(dApps)の構築に関わるエンジニア向けの資格です。
Certified Blockchain Expert(CBE)
海外の団体が運営している資格で、ブロックチェーンの概念、仕組み、スマートコントラクト、セキュリティなど、より技術的な内容を証明します。
日本での知名度はまだ高くありませんが、グローバルな評価を目的とする場合は有用な資格となり得ます。
3. 資格取得のメリット
これらの資格を取得する主なメリットは以下の通りです。
体系的な知識の習得
独学では偏りがちな知識を、網羅的かつ体系的に学ぶことができます。
客観的なスキルの証明
特に専門性の高い分野では、履歴書などに記載することで、自身の知識やスキルを客観的にアピールできます。
信頼性の向上
投資やコンサルティングなど、顧客と接する業務では、資格を保有していることで信頼性を高める効果が期待できます。
なお、仮想通貨やブロックチェーンの分野は進化が速いため、資格取得後も最新の情報を常に学び続けることが重要です。