仮想通貨の有望市場:DeFi(分散型金融)詳細分析レポート2【基礎編】

仮想通貨の有望市場:DeFi(分散型金融)詳細分析レポート2【基礎編】


分散型金融(DeFi)の基礎
DeFiとは何か(定義と構成要素)
DeFiは、ブロックチェーン技術を基盤とし、銀行や証券会社といった中央集権的な仲介者を介さずに、金融サービスを直接提供するシステムを指します。
このシステムは、ブロックチェーンに基づく特殊なアプリケーションであるDApps(分散型アプリケーション)と金融サービスで構成されています。
DeFiアプリケーションは、スマートコントラクトに組み込まれた金融プリミティブ、いわゆる「マネーレゴ」を活用することで、既存の金融システムに代わる代替システムを提供します。
ブロックチェーンは、情報を連続したブロックとして記録する分散型台帳技術であり、DeFiの根幹を支えています。
DeFiが金融分野において重要視されるのは、その分散型特性が取引の自動化、迅速性、安全性、および低コストを実現するためです。
中央管理者が存在しないことで、取引の承認プロセスが不要となり、タイムラグが大幅に削減されます。
また、データの記録と管理にブロックチェーンが活用されるため、データの改ざん耐性が高く、システム全体の耐障害性も向上します。

■DeFiの主要なメリットと特徴

DeFiは、従来の金融サービスにはない独自のメリットと特徴を提供します。
まず、透明性の高さが挙げられます。
DeFiにおける取引履歴は自動的にブロックチェーン上に記録され、ネットワーク参加者はその情報をいつでも確認できます。
これにより、不正行為やデータの改ざんが発生しにくく、高い透明性が確保されます。
次に、低コストでの取引が可能です。
中央集権的な仲介者が存在しないため、仲介者に支払う手数料が不要となり、ユーザーは従来の金融サービスと比較して手数料を大幅に節約できる可能性があります。
さらに、DeFiはアクセス可能性に優れています。
インターネット環境さえあれば、国や地域を問わず誰でもDeFiサービスを利用できます。
これは、世界中に存在する銀行口座を持たない人々や、従来の金融サービスが利用できない地域の人々にも、金融サービスを平等に提供できる可能性を秘めていることを意味します。

コンポーザビリティ(構成可能性)もDeFiの大きな特徴です。
DeFiプロトコルは、まるでレゴブロックのように互いに連携し、組み合わせて新しいサービスやより複雑な金融商品を構築できます。
この発展的な概念は、既存の金融システムには見られないDeFi独自の強みであり、イノベーションを加速させる要因となっています。
データの記録・管理にブロックチェーンを活用することで、DeFiは耐改ざん性・耐障害性を実現しています。
各ノード(ネットワークに参加するデバイスやコンピュータ)がデータのコピーを分散して保持するため、特定のサーバー障害が発生してもシステム全体が停止することなく、取引が継続されます。

最後に、DeFiサービスではガバナンストークンが重要な役割を果たします。
これは、各サービスを利用(預託)することで獲得できる暗号資産であり、法定通貨や他の暗号資産と交換可能です。
ガバナンストークン保有者は、プロトコルの意思決定プロセスにおいて投票権を行使でき、金銭的メリットを享受するだけでなく、プロトコルの将来の方向性に影響を与えることができます。

■DeFiエコシステムの主要セクター

DeFiエコシステムは多様な金融サービスで構成されており、それぞれが独自の機能と役割を担っています。
分散型取引所(DEX)は、特定の企業や組織が介在せず、スマートコントラクトによって自動で仮想通貨やトークンの取引を実行する交換所です。
Uniswap、SushiSwap、PancakeSwap、Curve Financeなどがその代表例です。
DEXは、口座開設が不要でグローバルに利用でき、取扱銘柄が多く、ハッキングリスクが軽減されるといったメリットを提供します。
また、ユーザーは流動性を提供することで取引手数料の一部を報酬として受け取ることができます。

◆レンディング

レンディング(貸付・借入)プロトコルは、暗号資産を貸し出して利息を得るサービスであり、貸し手と借り手を直接結びつけます。
借り手は利息を支払い、貸し手は利息を受け取る仕組みです。
Compound、Aave、MakerDAOなどがこの分野の主要なプロトコルとして知られています。

◆ステーブルコイン

ステーブルコインは、その価値が安定しているデジタル資産です。
米ドルなどの法定通貨に価値を連動させることで、一般的な仮想通貨の大きな価格変動リスクを回避し、安定した価値を実現します。
DeFiエコシステム内では、取引や価値保存の手段として広く利用されています。

流動性ステーキング(Liquid Staking)は、仮想通貨をネットワークにロックして報酬を得る「ステーキング」の仕組みを、流動性を保ちながら実現するサービスです。
ユーザーはステーキングされた資産の代替となるステーキング証明トークン(stETHなど)を受け取り、これをさらに他のDeFiプロトコルで運用することで、追加の利益を得ることが可能です。
Lido Financeがこの分野で最大規模のプロトコルとして知られています。

オラクルは、ブロックチェーンに外部のデータ(オフチェーンデータ)を安全に取り込む役割を果たす分散型ネットワークです。
Chainlinkがその代表であり、価格データ、気象データなど、あらゆるAPIからデータを取得し、スマートコントラクトに供給します。
これは、レンディングにおける担保資産の清算管理や合成資産のプライス調整など、外部データに依存するDeFiプロトコルにとって不可欠なインフラです。

その他にも、ユーザーがイベントの予測に参加し、結果に応じて報酬を得る予測市場(Polymarket、Augurなど) や、取引所を通さずに暗号資産のレバレッジ取引などを可能にするデリバティブプロトコルが存在します。

近年特に注目されているのが、リアルワールドアセット(RWA)のトークン化です。
これは、現実世界の物理的資産(不動産、コモディティ、美術品)や金融資産(債券、株式)をブロックチェーン上のデジタル資産(トークン)として表現するプロセスです。
RWAのトークン化は、DeFiと伝統金融の橋渡し役となり、流動性、アクセス性、透明性を向上させることで、新たな投資機会を創出すると期待されています。
仮想通貨の有望市場:DeFi(分散型金融)詳細分析レポート1【概要編】

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