仮想通貨プロジェクト「ワールドコイン」は、認証を行っていないユーザーでもワールドコイン(WLD)を予約できる機能をリリースした。
8月11日の発表で、ワールドコインプロジェクトは、ワールドIDを取得する前に、全ての人がワールドコインを予約できるようにする予約機能を提供すると発表。
予約機能は、オーブによる虹彩認証を済ませることで、予約したワールドコインを取得できる。
予約の有効期間は12ヶ月間で、有効期間内に虹彩認証を済ませる必要があり、日本には認証可能なスポットが東京都内に4箇所設置されている。
これまでワールドコインプロジェクトに参加するためには、都内に設置された認証スポットで虹彩認証を済ませる必要があった。
都内に行く機会の少ない地方在住者にとっては、虹彩認証のためだけに都内に出向いて手続きを行うメリットは少ないと思う人が多いはずだ。
そんな人にとっては、予約機能を利用することで認証手続きを行う猶予期間が生まれ、12カ月以内に関西などに認証スポットが設置される可能性も出てくるため、わざわざ東京に出向く必要もなくなるわけだ。
予約機能は、地方に居住する人の利用を促進する契機になるかも知れない。
ワールドアプリの予約機能
ワールドコインプロジェクトは、ワールドID、ワールドコインアプリ、ワールドコイン(WLD)の3つの主要な要素で構成されている。
虹彩をスキャンする生体認証を行って、ワールドIDを取得する意志のあるユーザーは、WLDトークンで報酬を受け取る権利がある。
ワールドコインは、3年間の開発期間を経て7月24日に立ち上げられた。
このプロジェクトは、将来的にボットと人間とを区別するためのグローバルデータベースを作成することを目指している。
これは、AI(人工知能)が高度に発達し、インターネット上で本物の人間とボットを区別することが難しくなるという予測に基づいたものだ。
ワールドIDの利用が拡大していくと、今後さまざまなサービスにアクセスするために、必要なデフォルトIDとなる可能性が示唆される。
ワールドコインのセキュリティとプライバシー問題
ワールドコインは、ユーザーの虹彩をスキャンすることで、人間であることを認証することが前提となるプロジェクトであり、虹彩認証を済ませたユーザーにワールドコインを配布している。
これを巡っては、多くの人々からプライバシーに関する懸念の声が挙がっている。
AAIPは「個人データが提供されるたびに、市民は、データが収集され、処理される目的、データの使用方法、データの割り当てについて明確でアクセス可能な情報を知る権利がある。
特に生体認証のようなセンシティブなデータに関しては、それが当てはまると述べている。
このプロジェクトを巡っては、多くのプライバシー懸念の声が挙がっており、各国の個人情報保護期間が調査を着手している。
アルゼンチン
アルゼンチンの当局は、プライバシー問題を巡り仮想通貨プロジェクト「ワールドコイン」に対する調査を開始した。
8月8日の発表で、アルゼンチンの公共情報アクセス庁(AAIP)は、ワールドコインが顧客データの収集、保存、利用について、
セキュリティとプライバシー規制を遵守しているかを確認するための調査を行っていることを明らかにした。
ドイツ、フランス、イギリス
7月のトークン立ち上げ前に、ワールドコインには200万以上のアカウントが登録された。
しかし、虹彩スキャナーの設置後、ドイツのバイエルン州データ保護監督局がプライバシー問題を巡る調査を発表した。
その後、フランスのデータ保護機関が、プロジェクトのデータ収集方法を「疑問視」しているとの報道もあった。
イギリスでも規制当局の調査に直面している。
ケニア
最近では、ワールドコインのデータ収集方法がケニアで問題となった。
ケニア政府は、ワールドコインが虹彩スキャンなどの重要な識別情報をデジタルIDと引き換えに収集していることに懸念を示している。
8月2日には、ケニアの内務大臣が、市民に対する潜在的なリスクを評価する機会を得るまで、ワールドコインの現地での活動を一時停止させると発表した。
8月7日には、ケニアの警察がワールドコインのオフィスを家宅捜索し、ユーザーデータが含まれている可能性のある機器を押収したと、現地のニュースメディアが報じた。