DeFi関連主要銘柄の詳細分析と将来性【Layer2 スケーリングソリューション編】

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Layer2 スケーリングソリューション (Arbitrum (ARB) & Optimism (OP))
概要とEthereumスケーラビリティ問題への貢献
Layer2スケーリングソリューションは、EthereumのようなLayer 1ブロックチェーンが抱えるパフォーマンスとスケーラビリティの課題を解決するために開発された技術です。
Ethereumのネットワークが混雑すると、トランザクション手数料であるガス代が高騰し、処理速度が低下するという問題が発生します。
Layer2ソリューションは、取引をメインブロックチェーンからオフロードし、オフチェーンで処理することで、この混雑を大幅に軽減し、取引コストを削減し、スループットを向上させます。
これにより、DeFiやDAppsのスムーズな運営が可能となり、より広範なユーザーベースへのアクセスが促進されます。

Optimistic Rollupは、Layer2スケーリングソリューションの一種であり、トランザクションの度に検証を行うのではなく、不正なブロックが検出された場合にのみ検証を行うという「楽観的な」アプローチを採用することで、ネットワークリソースの効率化を図ります。

■Optimistic Rollupの仕組みとArbitrum/Optimismの比較

ArbitrumとOptimismは、どちらもOptimistic Rollup技術を実装しており、Ethereumのスケーラビリティ問題に対処する主要なソリューションです。
両者にはいくつかの共通点と相違点があります。

共通点
Fraud proofs(不正証明)
Optimistic Rollupの核心的な仕組みであり、トランザクションがデフォルトで有効であると仮定し、不正なブロックが検出された場合にのみ検証(OptimismではFault proofに名称変更)を行います。
これにより、L1の負担を軽減し、効率的な処理を可能にします。

Instant finality(即時確定性)
トランザクションは、L2上でブロックが作成された瞬間に確定されるため、ユーザーは迅速な取引体験を得られます。
Cross-chain bridges(クロスチェーンブリッジ)
L1(Ethereumメインネット)とL2(Arbitrum/Optimism)間でトークンの移動を可能にするブリッジを提供します。

相違点
Fraud proofsの方式
Optimism
以前はシングルラウンドのFraud proofsを採用しており、L1がL2の全トランザクションを検証することに依存していました。
これにより、L1での検証コストが高くなる傾向がありましたが、現在はマルチラウンドのFault proofへの移行案が出されています。
Arbitrum: マルチラウンドのFraud proofs(「Fine-Combing」方式)を使用しています。この方式は、不正なトランザクションの特定の一点に焦点を当てることで、Optimismと比較してさらにネットワーク性能を高めます。また、L2の全トランザクションがL1で検証されるわけではないため、ガスブロックの制限による影響を受けにくいという特徴があります。
バーチャルマシン(VM):
Optimism: Ethereum Virtual Machine (EVM) を使用しており、EVMとの高い互換性を維持しています。
Arbitrum: 独自のArbitrum Virtual Machine (AVM) を開発しました。AVMはEVMを使用するDAppsを自動でAVMに変換するため、DApps開発者に追加の実装はほとんど求められません。
TVL(Total Value Locked): Optimismが最初のRollupプロジェクトですが、現時点ではArbitrumが一歩リードしており、L2ネットワークのTVLのうち約55%をArbitrumが、約8%をOptimismが獲得しています(2022年2月時点のデータ)。このTVLの差は、ArbitrumのFraud Proofsの効率性やEVM互換性の高さが開発者にとって魅力的であったためと推測できます。
ArbitrumとOptimismは、Ethereumのスケーラビリティ問題に対する主要なソリューションとしてOptimistic Rollupを採用していますが、その実装には技術的な差異があります。
ArbitrumがTVLで先行しているのは、そのFraud Proofsの効率性やEVM互換性の高さが開発者にとって魅力的であったためと考えられます。
しかし、OptimismもFault Proofへの移行やOP Stackを通じたエコシステム拡大 に注力しており、競争は激化しています。
これらの技術的選択は、開発者の採用、ガス代、トランザクション速度、そして最終的なユーザーエクスペリエンスに直接影響を与えます。
L2ソリューション間の競争は、DeFiエコシステム全体のイノベーションを促進しますが、同時に流動性の断片化や、L2間でのシームレスな資産移動(クロスチェーンブリッジの重要性)といった課題も生じさせます。

■ARB/OPトークンエコノミクスとガバナンス

Arbitrum (ARB)
ARBはArbitrumのネイティブガバナンストークンであり、保有者はArbitrum DAOのガバナンス提案(ネットワークアップグレード、パラメータ調整など)に投票する権利を持ちます。
ARBの総供給量は100億トークンで固定されています。そのうち12.75%が初期ユーザーとDAOにエアドロップされ 、残りはDAOの金庫、チーム、投資家、エコシステム内のDAOに割り当てられています。
ARBトークンは、Arbitrumネットワークでのガス代の支払いには使用されません。

Optimism (OP)
OPはOptimism Collectiveのガバナンストークンであり、保有者はネットワークアップグレードや改善提案に投票する権利を持ちます。
OPの初期供給量は約42.95億トークンであり、年間2%のインフレ率が組み込まれています。最初のエアドロップでは、総供給量の5%がユーザー、ガバナンス参加者、ビルダーに配布されました。
Optimismは、Retroactive Public Goods Funding (RetroPGF) というユニークなメカニズムを採用しています。
これは、Optimism Collectiveにポジティブな影響を与える人々やプロジェクトに、過去の貢献に基づいて報酬を与えるシステムです。
これにより、公共財への資金提供を継続し、エコシステム成長を促進することを目指しています。
ARBとOPのトークンエコノミクスは、それぞれ異なる設計思想を持っています。ARBは固定供給量でデフレ的傾向を持つ一方、OPはインフレ的供給とRetroPGFを通じて公共財への資金提供を重視しています。
これらの違いは、各プロトコルがコミュニティの参加を促し、エコシステムを成長させるためのインセンティブ設計に影響を与えます。
ARBのガバナンスへの集中と、OPの公共財資金提供へのコミットメントは、それぞれのプロトコルが目指す分散化の形を反映しています。
L2トークンの価値は、そのユーティリティ(ガバナンス、ステーキングインセンティブ)だけでなく、基盤となるL2ネットワークの採用率、TVL、およびトランザクション量に強く依存します。
トークンアンロックイベントは、市場に売り圧力をかける可能性があるため、ロードマップにおけるアンロックスケジュールを注視することが重要です。

■セキュリティ対策と監査状況

ArbitrumとOptimismは、Ethereumのセキュリティを継承しつつも 、Layer2独自のスマートコントラクト脆弱性やプロトコル設計に起因するリスクに対応するため、継続的なセキュリティ対策と監査を実施しています。

Arbitrum
Cyfrin、ConsenSys Diligence、Trail of Bits、OpenZeppelinなど、複数の著名なセキュリティ企業によるスマートコントラクト監査を受けています。
監査レポートは公開されており、発見された脆弱性は修正されています。

Optimism
Cyfrin、OpenZeppelinなどによるスマートコントラクト監査を受けており、セキュリティが最優先事項とされています。
監査レポートは公開されており、重要なセキュリティ上の欠陥は修正または認識されています。

これらのL2ソリューションは、Ethereumのセキュリティを継承するだけでなく、L2レイヤーの複雑なプロトコル設計に起因する新たな攻撃ベクトル(例: ブリッジの脆弱性 )にも対応する必要があります。
継続的な監査とバグバウンティプログラムの実施は、これらのリスクを軽減し、ユーザーの信頼を維持するために不可欠です。

■ロードマップと将来性(Superchain、Orbit)

Layer2ソリューションは、単なるスケーリングソリューションに留まらず、カスタマイズ可能なアプリケーション固有のチェーン(App-chains)や、相互接続されたエコシステムへと進化しています。

Arbitrum
2023年のロードマップには、独自のLayer 3ソリューション「Orbit」のローンチ、RustやC++などのプログラミング言語でのデプロイメントサポート、バリデーターセットの拡大などが含まれています。
Arbitrum Orbitは、カスタマイズ可能な専用チェーンを立ち上げるパーミッションレスなパスを提供します。
これにより、L2またはL3チェーンとしてEthereumまたは他のL2に決済でき、専用のスループット、プライバシー、ガス代トークン、ガバナンスなどを設定することが可能です。

Optimism
「Superchain」というビジョンを掲げ、MITライセンスのオープンソースOP Stackを基盤とする、構成可能で統一されたブロックチェーンネットワークの構築を目指しています。Superchainは、インターネットレベルの活動をサポートすることを目標としています。
Retroactive Public Goods Funding (RetroPGF)を通じて、公共財への資金提供を継続し、エコシステム成長を促進しています。
2024年には、Superchainエコシステムが大幅に拡大し、L2トランザクションの約50%を占めるようになり、TVLも増加しました。
ArbitrumのOrbitとOptimismのSuperchainは、L2が単なるスケーリングソリューションに留まらず、カスタマイズ可能なアプリケーション固有のチェーンや、相互接続されたエコシステムへと進化していることを示しています。
これは、DeFiプロジェクトが特定のニーズに合わせてインフラを最適化し、ユーザーエクスペリエンスを向上させる新たな機会を提供します。
特に、Superchainの公共財資金提供モデルは、持続可能なエコシステム開発の新しいパラダイムを提示しています。
L2の将来は、単一のチェーンのパフォーマンスだけでなく、相互運用性、開発者の採用、そしてエコシステム全体の成長戦略によって決定されるでしょう。
これらの進化は、DeFiがより多様なユースケースとユーザー層を取り込む上で不可欠です。

■リスク要因(技術的複雑性、流動性の断片化、規制の不確実性)

Layer2スケーリングソリューションはEthereumのスケーラビリティ問題を解決する一方で、いくつかの課題に直面しています。

まず、技術的複雑性が挙げられます。
L2ソリューションは、L1とL2の間の複雑な相互作用を伴い、開発の複雑性が高い傾向があります。
これにより、スマートコントラクトのバグや脆弱性のリスクが高まる可能性があります。

次に、流動性の断片化の問題があります。
複数のL2ソリューションが存在することで、DeFi市場の流動性が各チェーンに分散し、効率が低下する可能性があります。
L2間での資産移動(ブリッジング)は依然として課題であり 、クロスチェーンブリッジのセキュリティ脆弱性(例: Poly Network、Wormholeのハッキング )は、L2間の相互運用性を阻む大きな要因となっています。

また、一部のL2ソリューションは、トランザクション検証のために中央集権的なエンティティに依存する可能性があり、これはブロックチェーンの分散化の精神を損なうリスクを伴います。

最後に、規制の不確実性も重要な課題です。各国政府や規制当局は、L2ソリューションに対する明確な規制の枠組みをまだ確立していないため、これがL2の成長と採用を妨げる可能性があります。
規制の不確実性は、機関投資家の参入を遅らせる要因ともなります。

これらの課題は、L2ソリューションの「成長痛」と見なすことができます。
L2ソリューションの将来は、これらの技術的・運用上の課題をいかに克服し、より安全でシームレスなユーザーエクスペリエンスを提供できるかにかかっています。
標準化されたプロトコル、堅牢なブリッジングソリューション、そして規制の明確化が、L2の本格的な普及には不可欠です。

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