【AI(人工知能)の歴史と生成AIの登場】初心者にも解りやすく解説

  • 2023.08.18
  • AI
【AI(人工知能)の歴史と生成AIの登場】初心者にも解りやすく解説

AI(Artificial Intelligence:人工知能)は、人間の知能を技術的な手法で模倣したコンピューターシステムである。
2022年11月に一般公開されたChatGPTは、AIを利用したチャットサービスで、リリースから僅か2カ月で1億人のユーザを集め世界中で注目の的になった。

AIの研究は1950年代に始まり、これまで70年近い歳月を費やして研究が重ねられてきた。
2000年代に入るとインターネットの普及によって、膨大なデータがネット上に蓄積されはじめ、さらに半導体の進歩によってコンピュータの性能が劇的に向上することになる。
ネット環境に蓄積されたデータはビックデータと呼ばれ、これらのデータを活用してAI技術を推し進めるための環境が整ってきたと言える。
ビックデータの活用によって、機械学習やディープラーニング(深層学習)の実現が可能となり、AIの実用化への歩みが加速するきっかけとなったわけだ。

2012年にはスタンフォード大学の共同研究で、猫の画像をAIが認識出来ることが確認され、2016年にはAlphaGoが囲碁王者と対局して圧倒的勝利を収めたことが発表された。
これまで既存のAIモデルでは、多くの人が利用するGoogle翻訳、検索や購入履歴の情報を利用したネット広告の出稿、などが実用化され利用されてきた。
ChatGPTの出現により2023年は、AIの本格的な普及によって第二次情報革命が始まる年となり、我々の生活や仕事は激変していくことになると予想される。

AIを構成する技術には、機械学習、ディープラーニングなどの学習機能がある。
ディープラーニングの特徴は、ニューラルネットワークと呼ばれる人間の神経回路をモデルにした多階層のネットワークから構築され、階層が多くなればなるほど複雑な処理が可能になる。
画像認識や音声認識、自然言語処理など、現在のAIに欠かせない機械学習(Machine Learning)は、ビックデータからデータの関連性やパターンを学習させることで、データを解析するためのルールを獲得する技術。

ディープラーニング(deep learning)は、機械学習のひとつでニューラルネットワークを使用して高度なパターン認識や予測を行う技術で、機械学習をさらに発展させ、AI自身が特徴や法則を導き出し、処理を自動化することが可能となる。
AIの学習機能を実現するために極めて重要な役割を担っている。

AIの学習機能は、近年目覚ましい進歩を遂げているもので、AIの中核技術に位置付けられていることもあり注目を集めている。
AIの教材として与えられる学習データの量と質は、AIの能力に重要な影響を及ぼす。
日常使われる言葉だけでなく、政治、経済、金融、製造、販売、医療など、あらゆる分野の専門用語を蓄積することで、汎用性を高めることが可能となる。
ビジネス分野においては、特定の企業や組織独自の用語や技術に特化した、データの蓄積が必要になることもある。

大規模言語モデル(LLM:Large Language Models)は、大量のテキストデータを使ってトレーニングされた自然言語処理モデルのことである。
大規模言語モデルをファインチューニングすることによって、テキスト分類や感情分析、情報抽出、文章要約、テキスト生成、質問応答、翻訳、プログラムコード生成など様々な自然言語処理(NLP:Natural Language Processing)タスクに適応できる。

特化型と汎用型
現在のAIには、特定の分野に特化した特化型AIと、あらゆる分野に対応する汎用型AIの2種類のAIが存在する。
2015年に囲碁のプロ棋士と対局して圧倒的な勝利をおさめた「Alpha Go」というAIは、囲碁の対局のために開発された特化型AIである。
2022年にリリースされ大きな話題となった「ChatGPT」は、まだ多くの課題が指摘されているが汎用型AIの代表的存在だ。
2023年には各社から汎用型AIが次々とリリースされ、AI分野は各社先を争う開発競争で激戦分野としての一歩を踏み出した。
一方で現在リリースされているAIは、汎用型というには時期尚早との声も多い。

10年後には、これまで人が行っていたことをAIが代わりに行う時代となり、便利になる代償として多くの人が仕事を失うことになるリスクも抱えている。
当面の間はAIと人の仕事のすみ分けが進み、人がAIをツールとして利用する時代となる。
やりたくなくても誰もがAIを学んで、AIを仕事や生活に利用する方法を模索することが必要だ。

■AIの歴史

◆AIの誕生(1950年代)

AIの歴史は1950年代に始まり、人間の知能を備えたコンピュータという概念が誕生しました。
AIの概念は、イギリスの数学者アラン・チューリングが1950年に出した著書、「計算する機械と人間」が起源と言われています。
アラン・チューリングは、コンピューターの概念を初めて理論化し、ドイツの暗号機「エニグマ」の解読によて、第二次世界大戦を勝利に導いたことでも有名です。
当時はコンピュータと言っても、現在のような高性能なものではなく、電卓に毛が生えた程度のものでした。
1956年には、ダートマス大学の数学教授ジョン・マッカーシーによって、AI(人工知能)を人間のように考える機械と定義されました。
これはAIという言葉が定義されたことによる、AI誕生の歴史的瞬間であった。

◆第1次AIブーム(1960年代)

1966年、マサチューセッツ工科大学のジョセフ・ワイゼンバウムによって、初の自然言語処理プログラム、ELIZA(イライザ)が開発された。
1970年始め、スタンフォード大学のAIラボによって、障害物を避ける能力を持つ自動走行ロボットShakey(シェイキー)の開発に成功した。
しかし、当時は現実の複雑な問題は解けないというAIの性能の限界から、AIの研究は1980年始めまで低迷期を迎えます。

◆第2次AIブーム(1980年代)

第2次AIブームでは、多くの大企業がエキスパートシステムを業務に導入するなど、エキスパートシステムは実用的なツールとして幅広く商用利用されるようになりました。
Amazonや楽天などのECサイトの評価システムは、情報を推測して提示するエキスパートシステムといえます。
サイトを訪問した人に、その人の見た商品情報からの類似商品をお勧めしたり、日頃見るニュースから次にその人が読みたいであろう関連ニュース一覧を表示することもエキスパートシステムです。
研究が進むにつれエキスパートシステムの限界が明らかとなり、1990年代には再び低迷期を迎える。
当時のコンピューターには必要な情報を自ら収集して蓄積する能力はなかったため、人が手動で「一般常識」レベルの膨大な知識をコンピュータに記述する必要があった。
また例外処理や矛盾したルールに対応できなかったため、実際に活用可能な知識量は特定の領域の情報などに限定する必要があった。

◆第3次AIブーム前夜(1993年~2006年)

1997年にチェス専用のコンピューター、ディープブルーがチェス世界王者に勝利した瞬間は有名です。
これはAIが人間に初めて勝利した瞬間として、今でも鮮明に人々の間で記憶に残ってる出来事です。
2000年代に入るとインターネットが普及して、コンピュータの性能が劇的に向上することになります。
インターネットから膨大な学習データを入手することで、ディープラーニング(深層学習)や機械学習の実現が可能となり、AI技術を推し進める環境が整ってきたと言えます。
2002年お掃除ロボットルンバの登場
ルンバを開発したアイロボット社は、マサチューセッツ工科大学のロボット学者達によって創設された会社です。

◆第3次AIブーム(2000年代後半~現在)

2011年、IBMが開発したAIワトソンがクイズ番組で人間に勝利する。
2012年、スタンフォード大学の共同研究で、猫の画像をAIが認識出来ることが確認された。
2016年、AlphaGoと呼ばれるAIシステムが、ヨーロッパ囲碁王者と対局し、圧倒的な勝利を収めたことが発表された。
2022年11月30日、OpenAI社が人間とAIが対話するチャットサービスChatGPTを発表。
ChatGPTは自然言語処理モデルGPT-3.5を搭載、人の話す言葉に近い表現でわかりやすいと評判になり、わずか2カ月で利用ユーザ数1億を達成し驚異的なスピードで普及が始まった。
OpenAIはイーロン・マスクが出資する会社で、CEOのサム・アルトマンは一躍世界中で知られる存在となった。
ChatGPTのリリースを契機に、2023年にはいると各社から一斉にGenerativeAIのサービス開始の発表がされた。
2023年5月22日、メタ(Meta)は、1100以上の言語に対応する音声認識と生成技術、MMS(Massively Multilingual Speech)を発表した。

◆生成AI時代の到来

2022年11月末にOpenAIからリリースされたChatGPTによって、本格的な第3次AIブームが到来した。
ChatGPTは、OpenAIの大規模言語モデルをファインチューニングした自然言語処理モデルで、生成AI(ジェネレーティブAI)と呼ばれる。
プロンプトと呼ばれる利用者のリクエストに、AIが答える機能を搭載したチャットボットで、誰でも簡単に利用できることで爆発的に利用者を集めている。
2023年になると、OpenAI以外の会社も続々と生成AIのサービスがリリースされている。
生成AIの一般的なリクエストの型式は文字であるが、画像、動画、音声などの媒体を利用することも可能になっている。
生成AIによって生成されるものには、文章、画像、音声、動画、音楽、ゲームやアプリのプログラムコードなど多岐に渡る。
中でも文章生成や画像生成は、誰でも利用する機会が多く、現在のトレンドとなっていることもあって利用者も多く人気がある。
Youtubeには動画生成機能を紹介するチャンネルも多く、静止画像を動かして話せることが出来るなど、高品質な動画が生成できるようになっている。
第3次AIブームを支える革新技術が機械学習とディープラーニング
機械学習はコンピューターが大量のデータを学習して、分類や予測などのタスクを遂行するアルゴリズムやモデルを自動的に構築する技術
ディープラーニングは機械学習の実装手法の一つで、人間が行うタスクをコンピュータに覚えさせ、複雑な問題を解決するための技術
自然言語処理(NLP)とは、人間が日常的に使っている自然言語をコンピュータに処理させる一連の技術で、コンピュータに「ことば」を教える分野といわれています。
近年では、高精度な翻訳ツール「DeepL」の登場やGoogle検索エンジンの検索精度の向上により、コンピュータが長文の文章を的確に処理できるようになってきました。
2023年は、AIの実用化が一気に加速する、世はまさにAI時代の到来となる。

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